「金(ゴールド)とプラチナ、どちらのほうが希少でどちらのほうが価値が高いのだろう?」
「今後、持っていて資産価値が上がるのはどっち?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。どちらも高価で貴重な金属であることは確かですが、それぞれ違いもあり、近年では価格に2倍近くの差がついています。
そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
- この記事で解説していること
- 【金とプラチナ】資産価値・希少性が高いのはどっち?
- 金とプラチナの価値が逆転した理由
- 将来的に資産価値が上がるのは金とプラチナのどちらか?
- 金とプラチナの価格が変動する要因
今後金・プラチナの売却や投資を検討されている方は、この記事を参考に、今後の対応について検討してみてください。
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【目次】
1.【金とプラチナ】価値が高いのはどっち?
金とプラチナで、価値が高いのはどちらなのでしょうか。
今回は、「資産価値」と「希少性」という2つの視点から金とプラチナを比較していきます。
1-1.「資産価値」が高いのは金
2023年現在、資産価値が高いのは金(ゴールド)です。金とプラチナの1gあたりの価格(税込)を比較すると、2024年10月7日時点では、以下のような価格になっています。
金の価格 (店頭小売価格) | プラチナの価格 (店頭小売価格) |
---|---|
13,978円 | 5,284円 |
出典:田中貴金属工業株式会社|貴金属価格情報
金とプラチナには大きな価格差があり、その差は2倍以上開いています。以上のように、価格から資産価値を測ると、金のほうが高くなっています。
1-2.「希少性」が高いのはプラチナ
希少性の観点でいうと、実は金よりもプラチナのほうが圧倒的に高い希少性を持ちます。
これまでに採掘された金を世界中から集めても、水泳競技で使用される国際基準プール4.3杯分ほどといわれていますが、プラチナはさらに少ないです。プラチナは、これまでに国際基準プール1つの足首を覆う程度しか採掘されていません。
投資家向けにプラチナの情報を提供している機関「World Platinum Investment Council」の情報によると、プラチナは金の30倍の希少性を持っていると報告されています。金・プラチナそれぞれの採掘量は以下のとおりです。
金 | プラチナ | |
---|---|---|
有史以来の総採掘量(推定) | 約205,238トン | 約7,200トン |
年間採掘量 | 3,000トン前後 | 200トン前後 |
参考①:How Much Gold Has Been Mined? | World Gold Council
参考②金・プラチナ・銀の特徴 | 田中貴金属
金は毎年3,000トン前後、プラチナは200トン前後しか新たに採掘されていません。そのため、以前はプラチナのほうが金よりも高く取引されていました。
2010年の平均価格は、金が3,477円、プラチナが4,635円です。
しかし2024年現在、価格は逆転しています。なぜ圧倒的な希少性を持つプラチナより、金の価格が高くなっているのでしょうか。
端的にいうと、金のほうが供給に対する需要が大きく、需要が安定しているためです。次の章では、金とプラチナの価値が逆転した理由をさらに詳しく解説します。
2.金とプラチナの価値が逆転した理由とは?
金とプラチナの価格が逆転したのは、主に以下3つの要因があります。
- 金とプラチナの需要(用途)に差がある
- 中国におけるプラチナの需要が低下している
- 世界情勢が安定せず金の需要が増加している
それぞれ見ていきましょう。
2-1.金とプラチナの需要(用途)に差がある
金とプラチナの需要は、以下のように大きく異なります。
- 金の需要内訳
- 宝飾品(ジュエリーなど):34%
- 投資:42%
- テクノロジー(電子機器の部品など):7%
- 中央銀行などによる保有:17%
- プラチナの需要内訳
- 自動車:36〜43%
- 工業:21〜26%
- 宝飾:26〜35%
- 投資:0〜15%
出典:プラチナ投資のエセンス プラチナ入門 – 投資への手引き 2020年6月 – WPIC
出典:戦略的資産としての金の重要性 | 日本版 16 付録I:金需給の構成とトレンド | World Gold Council(2021年)
金の需要は主に宝飾品や投資が中心で、安定した資産としての側面が大きいのが特徴です。一方プラチナの需要は工業用途が大半を占め、特に自動車産業での使用が多く、宝飾品需要は比較的少ないです。
そのためプラチナは、自動車産業や景気の変動に大きく影響されます。たとえば、2008年のリーマンショックでは自動車産業が大打撃を受け、プラチナ価格も急落しました。また、2015年にドイツの大手自動車メーカーによる排ガス不正問題が発覚し、ディーゼル車への信用が低下した際にも、プラチナの価格が下がりました。これは、ディーゼル車の排ガス浄化触媒としてプラチナが使われているためです。
一方で、金はその価値が不況時にも安定しており、特に「有事の金」としての役割が強調されます。インフレや戦争などの不安定な状況下では、資産を守るために投資家たちが金を購入する傾向が強まります。たとえば、2020年のコロナパンデミックや2022年のロシアによるウクライナ侵攻などの影響から、2024年現在金の価格は過去最高水準を推移しています。
このように、金とプラチナの需要に差があることが、現在金とプラチナの価値が逆転している要因です。
2-2.中国におけるプラチナの需要が減少している
近年、中国におけるプラチナの需要が減少しており、その影響でプラチナの価格が低下しています。
かつて中国では宝飾品としてのプラチナの人気が高く、世界的に見てもトップクラスの輸入量を誇っていました。ですが、中国国内にてコストカットの目的でプラチナの含有量を減らした宝飾品が製造されるようになったことで、その需要が徐々に減少しています。
一方、中国の動向次第でプラチナの価格が上昇することも考えられます。中国は現在でも多くのプラチナを輸入しており、輸入>輸出の状況が続いていることから、中国以外でプラチナが不足する可能性もあるためです。
2-3.世界情勢が安定せず金の需要が増加している
さまざまな要因によって世界情勢の不安定が続くなか、金への投資需要が一層高まっています。金は長年にわたり、不況や危機の時に価値が上昇する傾向にあり、多くの投資家が「安全資産」として金を選んでいます。
たとえば、リーマンショックや新型コロナウイルスの流行時には、金の需要が増加に伴い金の価格も高騰しました。
一方で、工業需要が大きいプラチナは、経済が不安定になることで需要が低下し、価格も低下する傾向にあります。このように金とプラチナは反比例の関係にあることから、価格の逆転が起き、その差はさらに開いているというわけです。
3.将来的に資産価値が上がるのは金とプラチナのどちらか?【今後の予想】
将来的に有用な資産となるという見方が強いのは、相場が上昇傾向にある「金」です。
現在は「VUCA」時代とも言われるように、社会における不確実性が高く、将来の予測が困難な状況にあります。そのため金を安全資産として保有し、有事に備えようという動きも強まっており、金の需要が増しているのです。
実際、ここ20年間では金は右肩上がりに価格が上昇してきました。
一方でプラチナは、今後の自動車産業の動向により、良くも悪くも価格が大きく変動する可能性があります。欧州を中心とした脱ディーゼルの動きや、燃料電池車(FCV)の増加などが、プラチナの需要を大きく左右すると考えられています。
価格変動のリスクでいうと、金よりもプラチナのほうが大きいのが現状です。
しかし裏を返せば、プラチナは売買のタイミングによっては大きなリターンを得られるということでもあります。WPICのレポートによると、今後4年の間にプラチナは供給不足になり、価格が上がると推測されています。
そのため、金・プラチナともに投資の対象とするのもおすすめの手段です。どちらも価値ある貴金属であることは間違いないので、投資をする方はご自身の戦略をきちんと立てたうえで投資することが重要といえます。
4.金とプラチナの価格が上昇する要因
金もプラチナも相場が安いときに購入し、相場が上がったタイミングで売却することで、大きな利益を生むことができます。
金とプラチナでは、価格の変動要因がそれぞれ異なるので確認しておきましょう。
4-1.金の価格が上昇する要因
金の価格は、主に以下6つの要因から上昇する可能性があります。
- 金の価格が上がる要因
- 供給量に対する需要の増加
- 米ドルの価値低下
- 地政学リスクの増大
- インフレ懸念
- 各国の中央銀行による金の購入
- 低金利
詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
4-2.プラチナの価格が上昇する要因
一方プラチナの価格は、以下4つの要因から上昇する可能性があります。
- プラチナの価格が上がる要因
- 自動車産業の需要増加
- 水素社会実現に向けた動きの加速
- 主要消費国での景気上昇
- 南アフリカの政治・経済情勢の悪化
こちらも以下の記事でさらに詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
5.金とプラチナのどちらを買うべき?
では最後に、金とプラチナのどちらを買うべきなのかを解説していきます。
5-1.安定感を重視するなら金
金に投資する最大の魅力はその安定性にあります。世界中の投資家から金が選ばれているのは、情勢が不安定なときにこそ、金の価値が高まるためです。
そのため、世界情勢に左右されない安全資産へ投資したいと考える方には、金の購入がおすすめです。
5-2.将来的な価格差を重視するならプラチナ
購入時と売却時に価格差を重視するのであれば、プラチナの購入がおすすめです。
プラチナは産業用途が多く、その価格は産業の景気に大きく左右されます。2008年の経済危機の際には、自動車産業の落ち込みがプラチナ価格の低迷を引き起こしました。今後も過去にあったようなプラチナの価格低下が起きないとも限りません。ですが、プラチナの価格が下がった際に購入することで、将来的に大きなリターンを期待できる可能性があるという見方もできます。
プラチナは投機的な側面が強く、市場の変動に敏感な投資家に適しているといえるでしょう。
6.【まとめ】長期的に価値が安定しているのは金、価値が変動しやすいのはプラチナ
2024年現在では、プラチナよりも金のほうが価値が高いと考えられています。金とプラチナの価格が逆転したのは、需要(用途)の違いが主な要因です。
プラチナは自動車産業や景気の影響を受けて、価格が下がってしまいました。金は世界的に先行きが不透明な状況下にある現在、特に投資・宝飾品としての需要が大きくなり、価格が高騰しています。
とはいえ、どちらも価格は常に変動していますので、売買の際にはきちんと相場を確認しておくようにしましょう。
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