金とは貴金属の一種で、化学記号Auで表される元素です。金の歴史は古く、紀元前6000年頃にさかのぼるといわれています。
この記事では、金とはいったい何か、特徴や性質、世界と日本の金の歴史までを紹介します。また、金の採掘方法や金の取引と市場の仕組みまで解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
1.金とは?
金とは貴金属の一種で、美しい輝きと希少性から古くから人類に珍重されてきた元素です。化学記号はAuで、周期表では79番目に位置します。金は非常にやわらかく加工しやすい性質を持ち、錆びにくいのが特徴です。続いて、以下について紹介します。
- 金の定義
- 金の特徴と性質
それぞれ解説します。
1-1.金の定義
金は貴金属の一種で、化学記号Auで表される元素です。周期表では79番目に位置し、人類が古くから珍重してきた希少な金属です。
金は「貴金属(Precious Metals)」と呼ばれる8種類の金属のひとつで、シルバー、プラチナ、パラジウムなどと同じグループに属します。
1-2.金の特徴と性質
金の特徴と性質について紹介します。
- 展延性と耐腐食性
- 柔軟合金としての特性
- 熱伝導・電気伝導の性質
ひとつずつ解説します。
1-2-1.展延性と耐腐食性
金は、優れた展延性を持つ金属です。1グラムの金から1/10000ミリの薄さまで引き伸ばすことが可能で、約3000メートルの金糸を作れます。
また、金は耐腐食性にも優れています。錆びたり腐ったりすることがなく、塩酸や硫酸などの強い酸にも溶けません。そのため、長期保存に適した金属として知られています。
1-2-2.柔軟合金としての特性
純金はやわらかすぎるため、日常的に身に着けるアクセサリーには不向きです。金に銀や銅、パラジウムなどを混ぜた金合金が一般的に使用されます。
合金にすると硬度や耐久性も向上するため、たとえば18金(K18)は金75%に割金25%を配合したもので、アクセサリーによく利用されています。
1-2-3.熱伝導・電気伝導の性質
金は熱や電気をよく通す性質があり、とくに電気伝導率が高いため、電子部品の素材として重宝されます。
スマートフォンやパソコンなど、電子機器に組み込まれている回路にも金が使用されています。金の耐食性や耐熱性と組み合わさり、長期間使用しても劣化しにくい電子部品の製造が可能です。
2.金の歴史と文化
金の歴史と文化について紹介します。
- 世界における金の歴史
- 日本人と金の歴史
それぞれ解説します。
2-1.世界における金の歴史
世界における金の歴史は、以下のとおりです。
- 紀元前からの歴史
- 金と人類の関係
ひとつずつ解説します。
2-1-1.紀元前からの歴史
金の歴史は、紀元前6000年頃にさかのぼります。メソポタミア文明のシュメール人が最初に金を使用したとされています。金は自然界に単体で存在するため、早くから人類に利用されました。
古代エジプトでは紀元前2600年頃の文献に金の記述が残されており、ツタンカーメンの黄金のマスクなど多くの金を使用した古物製品が発見されています。
2-1-2.金と人類の関係
金は、古くから人類にとって特別な価値を持つ存在です。古代エジプトでは権力の象徴として使用され、王の装飾品や棺の材料となりました。
また、太陽神ラーの肉体は金でできているとされ、永遠の生命の象徴とも考えられています。中世ヨーロッパでは錬金術が生まれ、金を人工的に作り出そうとする試みがおこなわれました。19世紀には北米やオーストラリアでゴールドラッシュが起こり、多くの人々が一獲千金を夢見て金鉱を目指しました。
2-2.日本人と金の歴史
日本人と金の歴史は、以下のとおりです。
- 中世の金文化
- 金本位制と資産価値
それぞれ解説します。
2-2-1.中世の金文化
日本の中世において、金は権力と富の象徴として重要な役割を果たしています。鎌倉時代から室町時代にかけて、金は仏像や寺院の装飾に多く用いられました。とくに有名なのは、鹿苑寺(金閣寺)です。足利義満が建てたこの建物は、上層2階を純金の箔で覆った豪華さで人々を魅了しました。
また、戦国時代には、金は武将たちの権威を示すものとしても使われました。豪華な金の鎧兜や刀の装飾は、武将の力と富を表現するのに欠かせませんでした。
2-2-2.金本位制と資産価値
明治時代に入ると、日本は近代化を進めるなかで金本位制を採用しました。1897年に施行された貨幣法により、日本円の価値は金の重量で定められます。金は国家の経済的基盤となり、重要性がさらに高まりました。
第二次世界大戦後、金本位制は廃止されましたが、金の資産価値は依然として高く評価されています。現代では、金は投資対象として人気です。経済の不安定な時期には、「逃避資産」としての役割を果たしています。
また、結婚指輪などのジュエリーとしても広く親しまれており、日本人の生活に深く根付いています。
3.金の価値はどのように決まる?
金の価値はどのように決まるのかを紹介します。
- 金の価値を決める3つの要因
- 金の現在価格を調べる方法
ひとつずつ解説します。
3-1.金の価値を決める3つの要因
金の価値を決める要因は、以下の3つです。
- 金の純度
- 需要と供給のバランス
- 為替相場
それぞれ解説します。
3-1-1.金の純度
金の価値を決める最も重要な要因は、純度です。純度は24分率で表され、K24が最高純度の99.99%以上を示します。K18は75%の純金を含み、残りはほかの金属との合金です。
純度が高いほど金の含有量が多く、価値が高くなります。ただし、純度が低い合金にも耐久性や加工のしやすさといった利点もあります。また、金製品の刻印を確認すると、K24やK18などの表記で純度を確認可能です。
3-1-2.需要と供給のバランス
金の価格は需要と供給のバランスによっても変動します。宝飾品や工業用途での需要が増えると価格が上昇し、金鉱山の新たな発見や採掘技術の向上により供給が増えると価格が下がる傾向にあります。
また、経済的不安定な時期には「安全逃避資産」として金への需要が高まるため、価格が上昇しやすいです。
3-1-3.為替相場
金の価格は国際市場だと米ドル建てで取引されるため、為替相場の変動が金の価値に影響します。円安ドル高になると、円換算での金の価格が上昇します。
逆に円高ドル安になると円換算での金の価格は下落するため、金の国際価格が変わらなくても、為替レートの変動により日本円での金の価値が変化しやすいです
3-2.金の現在価格を調べる方法
金の現在価格を知るには、主に2つの方法があります。
- インターネットで「金の価格」を検索する
- 金の買取専門店で直接確認する
貴金属をあつかう企業の公式サイトでは、毎日の貴金属価格情報が公開されています。そのため、店頭小売価格や買取価格、前日比などの情報を効率的に把握可能です。
参考:玉光堂の金買取
また、買取店の店頭には「本日の地金買取価格(g)」が表示されており、実際に入店しなくてもプライスボードで簡単に確認できます。店頭での表示価格は新聞よりも新しい情報が更新されているため、当日の金買取価格の相場を知るのに最適です。
金相場は基本的に毎日更新されるため、継続的に価格をチェックすることで、金の「売り時」と「買い時」を見分けられます。
4.金の用途と利用方法
金の用途と利用方法は、以下のとおりです。
- ジュエリーや装飾品
- 投資や資産価値
- 工業や医療分野
- 食用の金箔
ひとつずつ解説します。
4-1.ジュエリーや装飾品
金は、ジュエリーや装飾品などの宝飾品として最も広く利用されています。世界の金消費量の半数以上がジュエリーに使用されるといわれています。
純金はやわらかいため、ジュエリーには18金(K18)が使われやすいです。金の耐腐食性と美しい輝きが、長年にわたり人々を魅了してきました。また、仏教美術や建築物にも金が用いられ、奈良の東大寺の大仏や京都の金閣寺などが有名です。
4-2.投資や資産価値
金は、重要な投資や資産価値の対象となっており、経済が不安定な時期には「安全逃避資産」としての需要が高いです。
金投資にはいくつかの方法があり、ゴールドバーや金貨の購入、純金積立などがあります。金は価値が安定しているため、将来に備えた資産形成に最適です。また、インフレに強く、長期的な資産保全に役立ちます。
4-3.工業や医療分野
分野ごとの金の利用用途は、以下のとおりです。
- 工業用品
- 医療器具と生物学的用途
それぞれ紹介します。
4-3-1.工業用品
金は、工業分野で幅広く活用されています。主に、電子機器の回路基板や部品に金メッキを施されるのが一般的です。金は腐食に強く、電気伝導性に優れているため、銅線や部品の接続部分に使用されやすいです。
また、ICチップと外部を接続する非常に細い線「ワイヤボンディング」にも金が用いられます。また、スマートフォンやパソコン、デジタルカメラなどの身近な電子機器にも金が使われています。金は薄く延ばしたり、細い糸状にしたりできるため、小型化が進む電子機器の製造にも最適です。
4-3-2.医療器具と生物学的用途
医療分野でも金は重要な役割を果たしており、最も身近な例は歯科材料の金歯です。金は腐食しにくく、アレルギー反応を起こしにくいため、長期間の使用に適しています。
最新の医療技術では、放射線治療の際の照射用マーカーや関節リウマチ治療の金製剤としても金が使用されています。金の持つ特性を活かし、人体の治療に役立てられているのです。
また、金は生物学的な用途でも注目され、金ナノ粒子を使用した新しい診断法や治療法の研究が進められており、将来的にはがん治療などへの応用が期待されています。
4-4.食用の金箔
金は、食用としても利用されています。食用金箔は、料理やスイーツ、お酒の装飾に使われ、見た目を華やかにします。食用金箔は不純物を取り除いているため、人体に悪影響はありません。
ただし、栄養価はなく体内に吸収されずに排出されますが、金を食べることで、贅沢感や特別な体験を味わえます。金箔を使うことで、料理やデザートの見栄えが格段に良くなるため高級感が増します。
5.金の採取と産出方法
金の採取と産出方法を紹介します。
- 金の採掘方法
- 世界の主な産出国
- 日本の金鉱山と歴史
ひとつずつ解説します。
5-1.金の採掘方法
金の採掘方法は、以下の4つです。
- 鉱脈から採れる金
- 砂金の採掘
- 銅や鉛の副産物として採掘
- 海中から採れる金
それぞれ解説します。
5-1-1.鉱脈から採れる金
金鉱脈から金を採掘する方法は、最も一般的な採掘方法です。鉱山で金鉱石を採掘し、粉砕して自然金を取り出します。主な採掘方法は、「坑内採鉱法」と「硬岩探鉱法」の2つです。
坑内採鉱法は地下深くの鉱脈から金を採取しますが、落盤事故のリスクがあります。硬岩探鉱法は、金を含む岩石を爆破して掘削し、大量の水で金を選鉱します。
5-1-2.砂金の採掘
砂金採掘は「川金」とも呼ばれ、河川でおこなわれます。金鉱脈が風化や侵食で削られ、川に流れ込んだ砂金を採取する方法です。
古くから用いられている方法に選鉱鍋があり、パンニング皿を使って砂金を選別します。もし河川で砂金が見つかれば、上流にも金鉱脈がある可能性も高いため、新たな金山を探す手がかりにもなります。
5-1-3.銅や鉛の副産物として採掘
金は、ほかの金属鉱石の採掘過程で、副産物として得られる場合があります。たとえば、銅鉱石に含まれる金を電解精錬で取り出す方法です。
砕いた金鉱石に銅鉱石を混ぜて溶解し、金が混ざった銅を抽出します。その後、電気分解で金のみを精錬します。
5-1-4.海中から採れる金
金は、海底にも存在します。海底熱水鉱床と呼ばれる場所では、海底火山の熱水に溶け込んだ金属が沈殿して鉱床を形成しています。
鉱床から金を採掘する技術が研究されていますが、現時点では経済的に採算が取れる段階にはいたっていません。
5-2.世界の主な産出国
金は世界中で採掘されていますが、主な産出国は以下のとおりです。
- 中国
- オーストラリア
- ロシア
- アメリカ合衆国
上記の国々では、大規模な鉱山で最新の技術を用いて金を採掘しています。採掘方法には、露天掘りや坑内掘りがあり、鉱石から金を抽出する過程では化学的処理がおこなわれます。金の産出量は年々変動しますが、世界全体では年間約3,000トンの金が採掘されています。
5-3.日本の金鉱山と歴史
日本でも、古くから金の採掘がおこなわれてきました。最も有名なのは佐渡金山で、1601年に発見されて以来、約270年間にわたり採掘が続けられています。佐渡金山は最盛期には年間400kgの金を産出し、江戸幕府の財政を支え、明治時代になると海外の進んだ技術が導入され、採掘量が増加しました。
しかし、現在日本で操業している金鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山のみです。菱刈鉱山では、鉱脈が縦に走っているため、この鉱脈から金を採掘しています。かつては佐渡金山や鴻之舞金山(北海道)なども有名でしたが、現在は閉山しており、採掘はできません。
日本の金採掘の歴史は、技術の進歩とともに変遷してきましたが、現在は限られた鉱山でのみ採掘が続けられています。
6.金の取引と市場の仕組み
金の取引と市場の仕組みを紹介します。
- 金取引の基本
- 日本の金取引市場と特徴
ひとつずつ解説します。
6-1.金取引の基本
金取引の基本を紹介します。
- 世界の主要市場
- ロンドン市場の歴史と価格決定
それぞれ解説します。
6-1-1.世界の主要市場
金取引は世界中でおこなわれており、主要な市場は以下のとおりです。
- ロンドン
- ニューヨーク
- チューリッヒ
- 香港
- ドバイ
上記の市場は24時間体制で取引がおこなわれ、世界の金価格形成に大きな影響を与えています。各市場には特徴があり、たとえばニューヨーク市場では先物取引が盛んとなっています。一方、香港市場はアジアの金需要を反映し、実需取引が多いのも特徴です。
6-1-2.ロンドン市場の歴史と価格決定
ロンドンの金市場は、世界最大の金取引市場として知られています。歴史は300年以上前にさかのぼり、現在も金価格の基準です。ロンドンでは、毎営業日の午前10時半と午後3時(現地時間)に、5大貴金属商が集まり、金の価格を決定します。
また、ロンドン金値決め(London Gold Fixing)とも呼ばれており、この価格決定方式は透明性の高い取引として、世界の金市場の信頼性を支えています。
6-2.日本の金取引市場と特徴
日本の金取引市場と特徴を紹介します。
- 現物取引
- 先物取引
ひとつずつ解説します。
6-2-1.現物取引
日本の金現物取引は、主に金地金や金貨の売買を通じておこなわれます。個人投資家は金融機関や貴金属専門店で金地金を購入し、保有できます。現物取引の特徴は、実際に金を手に入れられる点です。
ただし、保管や輸送にコストがかかり、流動性が低いのが欠点です。また、金の価格は国際相場に連動しますが、日本国内では為替レートの影響も受けます。円安のときは金価格が上昇し、円高のときは下落する傾向にあります。
6-2-2.先物取引
金の先物取引は、大阪取引所(OSE)でおこなわれています。先物取引では、将来の一定の期日に、あらかじめ決められた価格で金の売買を約束します。実際に金を受け渡すことなく、差金決済で取引できるのが特徴です。
先物取引は、レバレッジを効かせた取引が可能で、相場の上昇下落どちらの方向でも利益を得るチャンスがあります。ただし、リスクも高く、相場が予想と反対に動いた場合、大きな損失を被る可能性があります。
7.金を高価買取するためのポイント
金を高価買取するためのポイントは、以下の5つです。
- 相場を確認しておく
- 落とせる汚れはあらかじめ落としておく
- 付属品も一緒に用意しておく
- 重量を確認しておく
- 信頼できる買取業者で査定してもらう
上記のポイントを押さえることで、金をより高く売却できる確率が高まります。
8.まとめ
金とは貴金属の一種で、化学記号Auで表される元素です。また、金の歴史は古く、紀元前6000年頃にさかのぼるといわれています。また、現在も金取引は世界中でおこなわれており、金の価格は需要と供給のバランスによっても変動します。
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