
宝石の価値は、その希少性や美しさ、歴史的背景によって大きく変動します。特にオークションで高額な落札を記録した宝石は、そのすべてを兼ね備えた「地球の奇跡」とも呼べる存在です。
この記事では、世界で最も高額な取引を記録したダイヤモンドから、その価値を決定する要素、そして五大宝石や三大希少石に至るまで、宝石が持つ奥深い世界を紐解いていきます。
世界一高い宝石に興味がある、どのような宝石の価値が高いのか知りたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.世界で価値が高い宝石ランキングTOP3(当時の落札額順)
当時の落札価格で世界を驚かせたトップ3の宝石をご紹介します。
- 第1位:ピンクスター・ダイヤモンド(落札価格 約83億円)
- 第2位:オッペンハイマー・ブルー・ダイヤモンド(落札価格 約63億円)
- 第3位:ブルー・ムーン・ダイヤモンド(落札価格 約59億円)
どのような経緯で落札されたのか、それぞれ解説していきます。
1-1.第1位:ピンクスター・ダイヤモンド(落札価格 約83億円)
2013年11月、スイスのジュネーブで開催されたサザビーズの競売で、世界をあっといわせる落札が記録されました。それが「ピンクスター・ダイヤモンド」です。
なんと59.60カラット(11.92g)という大きさ・重さを誇る、オーバル型ピンクダイヤモンドです。単一の宝石としては史上最高額(当時)の632万スイスフラン(当時のレートで約83億円)で落札されました。
2017年にも香港で再出品され、さらに高額な7120万ドル(約79億円)で落札されています。その価値と美しさが世界中で高く評価されている世界一高い宝石です。
1-2.第2位:オッペンハイマー・ブルー・ダイヤモンド(落札価格 約63億円)
2016年5月にジュネーブのクリスティーズオークションで、研磨済みダイヤモンドとしては史上最高額の5754万ドル(約63億円)で落札されました。
14.62カラットのエメラルドカットが施されたこの鮮やかなブルーダイヤモンドは、ダイヤモンド採掘業界の重鎮であった故フィリップ・オッペンハイマー氏がかつて所有していた歴史ある宝石です。
深い色合いと完璧なカットは見る者を圧倒する輝きを放ち、コレクター垂涎の的となりました。
1-3.第3位:ブルー・ムーン・ダイヤモンド(落札価格 約59億円)
2015年11月、スイスのジュネーブでおこなわれたサザビーズの競売に登場した「ブルー・ムーン・ダイヤモンド」は、12.03カラットのファンシービビッドブルーダイヤモンドです。
手数料込みで4860万スイスフラン(約59億4000万円)という高値で香港の個人収集家に落札されました。その直後に落札者によって「ジョゼフィーンのブルームーン」と改名されています。
専門家によって、「フローレス」(内外部に欠陥がない最高品質)と認められました。1カラットあたりの価格も当時の史上最高額を記録するなど、稀有な美しさと完璧さで世界中の注目を集めています。
2.1カラットあたりの金額が一番大きい宝石は「オレンジダイヤモンド」
落札総額ではピンクダイヤモンドやブルーダイヤモンドが上位を占めます。しかし、1カラットあたりの金額で最も高価な宝石として知られているのが「ファンシービビッドオレンジダイヤモンド」です。
ファンシービビッドオレンジダイヤモンドは、2013年11月にジュネーブのクリスティーズオークションで出品された宝石です。14.82カラットのオレンジダイヤモンドで、1カラットあたり240万ドル(当時のレートで約2.4億円)にて落札されました。
ファンシーカラーダイヤモンドは、その希少性から通常のダイヤモンドの1万分の1ともいわれます。特に大粒の石はほとんど産出されないため、非常に高い価値がつくケースが多いです。
3.宝石の価値を決める4つの要素
宝石の価値を決定する主要な4つの要素は以下の通りです。
- 処理の有無
- 希少性(産出量の少なさ)
- 需要と供給のバランス
- 色の美しさと品質(カラー、クラリティなど)
各詳細を、以下で紹介します。
3-1.処理の有無
宝石のなかには、色合いや透明度を向上させるために、加熱処理やオイル含浸のような人工処理が施されるケースもあります。
これらの処理自体は一般的ですが、天然の状態のまま非加熱・無処理で美しい宝石の市場価値を高めています。ミャンマー産の非加熱ルビーや、コロンビア産のエメラルドの無処理のものは、コレクターの間で特に重宝される逸品です。
3-2.希少性(産出量の少なさ)
宝石の価値を左右する最も重要な要素の一つが「希少性」です。
- 地球上で採れる量が限られている宝石
- 特定の地域でしか産出されない宝石
- 採掘が困難な場所にある宝石
上記の要素があると、供給量の少なさから価値が高まります。鉱山が枯渇したり、新しい鉱脈が発見されなかったりすることも、希少性を高める要因です。
3-3.需要と供給のバランス
市場における宝石の人気や、それに対する供給量のバランスも価値に大きく影響します。特定の宝石がファッショントレンドになったり、著名人が身につけたりすることで需要が急増すると、供給が追いつかずに価格が高騰します。
逆に、供給過多になると価格が下落しがちです。流行や文化的な背景が、宝石の需要と供給に影響を与えるのも珍しくありません。
3-4.色の美しさと品質(カラー、クラリティなど)
宝石の最も直感的な魅力である「色」は非常に重要です。ダイヤモンドでは無色透明に近いほど評価が高く、カラーダイヤモンドでは色の濃さや鮮やかさが評価されます。
宝石内部の不純物(インクルージョン)の少なさを示す「クラリティ(透明度)」や、カットの正確さも輝きに直結します。これらの要素が高いほど宝石の美しさは増し、価値も高まるのです。
4.世界五大宝石について
宝石の世界には、特にその美しさと価値が広く認められている以下の「世界五大宝石」が存在します。
- ダイヤモンド
- ルビー
- サファイア
- エメラルド
- 翡翠
この「五大宝石」の定義は絶対的なものではなく、国や文化によってはアレキサンドライトや真珠が加わるなど、異なる場合があります。それぞれ、詳細を解説していきます。
4-1.ダイヤモンド
地球上で最も硬い天然物質であり、その無類の輝きは「永遠の輝き」として愛されてきました。無色透明なものが一般的ですが、イエロー・ピンク・ブルーなどのファンシーカラーダイヤモンドも存在します。
婚約指輪の定番で、その堅牢性と輝きから「不変の愛」の象徴とされてきた宝石です。
4-2.ルビー
情熱的な赤色が特徴のコランダムという鉱物の一種です。特に「ピジョンブラッド」と呼ばれる深く鮮やかな赤色のルビーは、最高品質とされ非常に高い希少価値があります。
古くから王侯貴族に愛され富と権力の象徴とされてきた燃えるような赤色は、活力を与え成功をもたらすといわれています。
4-3.サファイア
ルビーと同じコランダムの一種であり、ピンク・イエロー・グリーン・パープルなど多様な色が存在する宝石です。(ルビーとサファイアはどちらも、コランダムという酸化アルミニウムの結晶からできています。)
なかでも最も有名なのは深い青色の「ロイヤルブルー」といわれます。
スリランカ産のピンクとオレンジの中間色である「パパラチアサファイア」は非常に希少です。誠実や真実を象徴するとされ、人々に安らぎと知恵をもたらす御利益から人気があります。
4-4.エメラルド
エメラルドは、ベリルという鉱物の一種です。その鮮やかな緑色は「エメラルドグリーン」と称され、世界中で愛されています。
内部に「庭園」と呼ばれる独特のインクルージョンを持つことが特徴です。その透明度が高く、色の濃いものが高く評価されます。再生や繁栄を象徴し、癒しの力を持つと信じられている宝石です。
4-5.翡翠
日本では古くから勾玉などにも用いられ、馴染み深い宝石です。大きく分けて「硬玉(ジェイダイト)」と「軟玉(ネフライト)」があり、宝飾品として価値が高いのは硬玉といわれています。
ミャンマー産の深い緑色のものは最高級品です。東洋では古くから不老不死や生命力の象徴とされ、魔除けや幸運のお守りとしても珍重されてきました。
5.世界三大希少的について
世界的に見ても産出量が極めて少なく、非常に高い希少価値を持つ宝石としては、以下の「世界三大希少石」が挙げられます。
- アレキサンドライト
- パライバトルマリン
- パパラチアサファイア
一つずつ見ていきましょう。
5-1.アレキサンドライト
6月の誕生石の一つです。19世紀にロシアで発見され、当時の皇太子アレクサンドル2世にちなんで名づけられました。
最大の特徴は「変色効果」です。自然光の下ではエメラルドのような青緑色に見える一方、白熱灯の下ではルビーのような赤紫色に変化します。
劇的な色の変化から「昼のエメラルド、夜のルビー」と称されます。希少性も相まって、1カラットあたり1000万円を超えることも珍しくありません。
5-2.パライバトルマリン
1989年にブラジルのパライバ州で発見された、「幻の宝石」です。
銅を含むことで発色する鮮やかなネオンブルーやネオングリーンの色合いがあり、見る角度で色や濃さが微妙に変わります。近年産出量が激減しており、今後ますます価値が高まる宝石です。
5-3.パパラチアサファイア
サファイアのなかでも特に希少性が高く、「サファイアの王」とも称される宝石です。
スリランカのシンハラ語で「蓮の花」を意味する言葉が語源となっています。その名の通り、ピンクとオレンジが混ざり合ったような、神秘的で絶妙な色合いが特徴です。
不純物が少なく、ピンクとオレンジの色のバランスがとれたものが最高級とされ、非常に高値で取引されています。
6.宝石を購入するなら抑えたい3つのポイント
これから宝石を購入したいと考えている方のために、購入時のポイントとして以下の3点を解説していきます。
- 宝石の品質基準を理解する
- 「処理の有無」と「産地」を確認する
- 信頼できる販売店を選ぶ
それぞれ解説します。
6-1.宝石の品質基準を理解する
まず、ダイヤモンドであれば「4C」、カラーストーンであれば「色の美しさ」を最優先とする、宝石の価値を決める世界共通の品質基準を理解することが基本です。
ダイヤモンドの価値は、重さ(カラット)、輝き(カット)、色(カラー)、透明度(クラリティ)の4つの要素の組み合わせで客観的に評価されます。一方ルビーやサファイアなどの色石は、何よりもその色の鮮やかさと濃淡が、価値を大きく左右します。
この基準を知っておくと、価格が適正かどうかを、ご自身で判断する物差しになるでしょう。
6-2.「処理の有無」と「産地」を確認する
宝石に美しさを引き出すための人工的な「処理」が施されているか、そして、どの「産地」で採れたものかを確認することも、価値を見極めるうえで非常に重要です。
たとえば、ルビーやサファイアの色を鮮やかにする「加熱処理」は一般的ですが、無処理で美しい石は、希少性が格段に高くなります。また、カシミール産のサファイアのように、特定の産地で採れた宝石は、ブランドとして高い価値がつくことがあります。
これらの情報は鑑別書に記載されていますので、必ず確認しましょう。
6-3.信頼できる販売店を選ぶ
宝石を購入する際は、宝石に関する深い知識を持ち、誠実な説明をしてくれる、信頼できる販売店を選ぶようにしてください。
GIA G.G.(米国宝石学会認定宝石学者)のような、専門資格を持つスタッフが在籍しているお店は、信頼性の高い指標の一つです。また、購入後のサイズ直しやクリーニングといった、アフターサービスが充実しているかも、長く付き合えるお店かどうかの判断材料になります。
価格だけでなく、総合的な安心感で、お店を選ぶ視点を持ちましょう。
7.まとめ
宝石は美しい輝きをもつ地球が育んだ奇跡であり、人類の歴史や文化に深く根ざした存在です。
オークションで高額な記録を打ち立てた稀代のダイヤモンドは、その価値を決定する多角的な要素で評価されています。私たちを魅了してやまない五大宝石や三大希少石もあり、どれもが宝石の奥深い魅力を物語るものです。
宝石を選ぶ際には、これらの知識を参考に、あなたにとって特別な輝きを見つけてみてください。
玉光堂では、宝石の高価買取を実施中です。宝石・ジュエリーの売却を検討している方は、ぜひ玉光堂の高価買取をご利用ください。
玉光堂の選べる買取方法