
実家の整理や大掃除をしていると、錆びついた古い硬貨や、見たこともないお札が出てくることはありませんか?「こんなに汚れているし、どうせ価値なんてないだろう」と、そのまま捨ててしまおうか迷っている方も多いかもしれません。
しかし、一見ゴミのように見える古銭の中に、実はコレクターが喉から手が出るほど欲しい「お宝」が紛れ込んでいる可能性があるのです。
そこでこの記事では、価値がつきにくい古銭の特徴や、逆に高値が期待できる古銭の見分け方について詳しく解説します。また、値段がつかなかった場合の正しい処分方法もご紹介します。
古銭の価値について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.そもそも古銭とは?

古銭とは、現在は流通していない過去の硬貨・紙幣の総称で、歴史的価値や収集価値を持つお金のことを指します。和同開珎などの古代銭から、江戸時代の寛永通宝、小判、明治〜昭和初期の金貨・銀貨、さらには古い紙幣まで幅広く含まれます。
種類や時代背景、発行枚数、保存状態によって価値が大きく変わり、コレクター市場では高額で取引されるものも少なくありません。単なる貨幣としての役割を超え、歴史資料・美術品としての魅力が評価されている点が特徴です。
1-1.古銭の種類
古銭には非常に多くの種類があり、作られた時代や素材によって細かく分類されています。代表的な古銭は、以下の7種類です。
- 古代銭(和同開珎など)
- 中世銭(宋銭・明銭)
- 江戸時代の銭貨(寛永通宝、小判、丁銀など)
- 近代貨幣(明治〜昭和の金貨・銀貨)
- 記念硬貨
- エラーコイン
- 紙幣(古札)
それぞれ解説します。
1-1-1.古代銭(和同開珎など)
古代銭とは、奈良時代や平安時代など、日本の歴史の初期に作られた貨幣のことです。もっとも有名なのは教科書にも出てくる和同開珎で、日本で本格的に流通した最初期の貨幣の一つといわれています。
この時代の古銭は、現存する数が非常に少ないため、歴史的な価値が極めて高いのが特徴です。しかし、当時から偽物が多く作られていたため、専門家でないと本物かどうかの判断が難しいジャンルでもあります。
1-1-2.中世銭(宋銭・明銭)
中世銭とは、平安時代の終わりから室町時代にかけて日本で使われていた、中国から輸入された貨幣のことです。「宋銭」や「明銭」などがこれにあたります。
当時は日本の政府が貨幣を作らなかったため、海外のお金をそのまま使っていました。日本国内で大量に流通していたため、現在でも畑や遺跡から見つかることがあります。数が多いため、希少価値はそれほど高くないケースが多いです。
1-1-3.江戸時代の銭貨(寛永通宝、小判、丁銀など)
江戸時代の銭貨は、庶民が使っていた「寛永通宝」や、高額な取引に使われた「小判」「丁銀」などが該当します。
寛永通宝は非常に長い期間作られていたため、現在でも残っている数が多く、価値がつかないこともあります。一方で、小判や丁銀は金や銀そのもので作られているため、素材としての価値が高く、高額で買取される可能性が高いです。
1-1-4.近代貨幣(明治〜昭和の金貨・銀貨)
近代貨幣とは、明治時代に入ってから西洋の技術を取り入れて作られた、円形などの整った形をした貨幣です。「1円銀貨」や「旧20円金貨」などが有名で、これらは精巧なデザインと高い純度の貴金属で作られています。
コレクターからの人気が非常に高く、発行された年号や発行枚数によって買取価格が大きく変動します。とくに金貨は、地金としての価値も加わるため高値がつきやすいです。
1-1-5.記念硬貨
記念硬貨とは、オリンピックや万博、天皇陛下の即位など、国の大きな行事を記念して発行される特別な貨幣です。1964年の東京オリンピック記念硬貨などが有名で、コレクションとして集めている人が多くいます。
金や銀で作られているものは高く売れる傾向にあります。一方ニッケルなどの一般的な金属で作られたものは、発行枚数も多いため、銀行で両替するのと変わらない価値になることもあります。
1-1-6.エラーコイン
エラーコインとは、製造過程でのミスによって、本来のデザインとは異なる状態で世に出てしまった硬貨のことです。穴の位置がずれていたり、模様が片面しかなかったりするものがあり、これらは本来なら検査で取り除かれるはずのものです。
そのため市場に出回る数は極めて少なく、コレクターの間では非常に高い値段で取引されます。財布の中の小銭に紛れている可能性もある、夢のある古銭です。
1-1-7.紙幣(古札)
紙幣(古札)とは、明治時代以降に発行された古いお札や、藩札などのことを指します。板垣退助の100円札や伊藤博文の1000円札など、昔のお札を懐かしく思う方もいるでしょう。
紙幣は硬貨と違って破れや汚れがつきやすいため、きれいな状態で残っているものは希少価値が高くなります。また、番号がぞろ目などの珍しいものは、プレミア価格がつくこともあります。
2.古銭には価値がないのか?
古銭には価値がないといわれることもありますが、すべての古銭が無価値なわけではありません。
たしかに、発行枚数が多くて現存数も多い古銭は、買取店に持ち込んでも値段がつかないケースがあります。しかし、歴史的に貴重なものや、金や銀などの貴金属が含まれているもの、エラーコインのように珍しいものは、驚くような高値になることもあります。
重要なのは、手持ちの古銭の価値を見極めることです。自己判断で捨ててしまう前に、まずはその価値を正しく知る必要があります。
3.価値がない・つきにくい古銭の特徴

残念ながら価値がつかない、あるいは非常に安くなってしまう古銭には、いくつかの共通する特徴があります。以下のような特徴です。
- 錆びや汚れがひどく保存状態が悪い
- 発行枚数が多い
- 需要が少ない
- 真贋が不明・鑑定書がない
- クリーニングされている
それぞれ解説します。
3-1.錆びや汚れがひどく保存状態が悪い
錆びや汚れがひどく、文字や模様が判別できないほど保存状態が悪い古銭は、価値が大きく下がってしまいます。古銭の価値は「どれだけきれいに残っているか」というグレードで決まる部分が大きいため、変色や腐食が進んでいるとコレクションとしての価値が失われるからです。
とくに紙幣の場合は、破れやカビ、虫食いなどがあると、買取自体を断られることもあります。
3-2.発行枚数が多い
発行枚数が非常に多く、市場に大量に出回っている古銭は、希少性がないため価値がつきにくいです。たとえば、江戸時代に庶民の間で広く使われた「寛永通宝」や、昭和に大量発行された一部の記念硬貨などがこれに当たります。
これらは現存している数が多すぎるため、欲しい人よりも売りたい人のほうが多くなり、価格が上がらないのです。ただし、同じ種類でも発行された年号によっては価値が出ることもあります。
3-3.需要が少ない
コレクターからの人気が低く、需要が少ない古銭も、高値で売るのは難しい傾向にあります。
古銭の価格は「お金を出してでも欲しい」という人がいて初めて成り立ちます。そのため、歴史的な資料としての価値はあっても、コレクションとして人気がないマイナーな古銭は、買い手がつかず査定額も低くなりがちです。
ブームが過ぎてしまった記念硬貨なども、需要の低下とともに相場が下がることがあります。
3-4.真贋が不明・鑑定書がない
本物かどうかがわからず、それを証明する鑑定書がない古銭は、評価が低くなるか買取を断られる可能性があります。
とくに価値が高いとされる大判・小判や古代銭は、昔から精巧な偽物が作られてきました。プロの鑑定士でも判断が難しいものがあるため、信頼できる機関の鑑定書がないと、リスクを避けるために安く査定せざるを得ないのです。
鑑定書は古銭の身分証明書のようなもので、あるだけで信頼性が大きく変わります。
3-5.クリーニングされている
汚れを落とそうとして自分で磨いたり洗浄したりした古銭は、逆に価値を下げてしまうことがほとんどです。古銭の場合、長い年月を経てついた自然な変色や風合いも価値の一部とみなされるためです。
ピカピカに磨いてしまうと、その歴史的な風合いが失われるだけでなく、表面に細かい傷がついて「加工品」や「傷物」として扱われてしまいます。汚れていても、そのままの状態で査定に出すのが鉄則です。
4.価値がつかない古銭の正しい処分方法
査定の結果、残念ながら価値がつかないと判断された古銭は、どのようにして処分すべきでしょうか。主に、以下の3点からご紹介していきます。
- 銀行で現行通貨へ両替・入金する
- 寄付やリサイクルとして処分する
- 廃棄や加工の際に注意すべきこと
詳しくみていきましょう。
4-1.銀行で現行通貨へ両替・入金する
もっとも確実で損をしない方法は、銀行の窓口に持ち込んで、現在使えるお金に両替、または口座に入金してもらうことです。
明治以降に発行された金貨や銀貨、記念硬貨などの多くは、種類によっては現在も通貨としての効力が残っており、金融機関で額面相当で取り扱ってもらえる場合があります。たとえ古銭としてのプレミア価値がつかなくても、額面通りの金額(たとえば100円硬貨なら100円)として現金化できるのです。
両替にかかる手数料や取り扱い方法は金融機関によって異なるため、事前に相談することをおすすめします。
4-2.寄付やリサイクルとして処分する
少額の古銭や、銀行でも取り扱えない海外のコインなどは、寄付やリサイクルとして活用するのも一つの手です。
ユニセフなどの慈善団体では、海外のコインや古い紙幣の寄付を受け付けている場合があります。これらは換金されて、世界の子どもたちの支援活動に使われます。自分の手元では価値がなくても、社会貢献として役立てることができる方法です。
また、非鉄金属のリサイクル業者であれば、銅やニッケルなどの金属資源として引き取ってくれる場合もあります。
4-3.廃棄や加工の際に注意すべきこと
「面倒だから捨ててしまおう」と考えるかもしれませんが、貨幣をゴミとして廃棄したり、アクセサリーなどに加工したりする際には法律上の注意が必要です。
日本の「貨幣損傷等取締法」では、日本銀行券や政府発行の貨幣を故意に傷つけたり溶解したりする行為が禁止されています。これに違反すると罰せられる可能性があります。
また、古銭を不燃ゴミとして出すことは自治体によって禁止されている場合が多いです。必ずお住まいの地域のルールを確認するか、前述の方法で適切に手放すようにしましょう。
5.捨ててはダメ!価値が高い古銭の特徴
「汚いから捨てよう」と思っているその古銭の中に、実はコレクターが喉から手が出るほど欲しい「お宝」が眠っているかもしれません。ここでは、価値が高い古銭の6つの特徴を紹介します。
- 状態が極めて良い
- 発行数・現存数が少ない
- コレクター人気が高い
- 本物と証明できる鑑定書がある
- エラーや特定年号など希少性が高い
- 金貨・銀貨など素材価値がある
それぞれ解説します。
5-1.状態が極めて良い
古銭の世界では、保存状態の良し悪しが価値を大きく左右します。
まったく使われていない「完全未使用品」や、製造時の光沢が残っている「未使用品」は、通常の流通品に比べて数倍から数十倍の価格がつくこともあります。とくに、明治・大正時代の銀貨や銅貨で、赤みや輝きがそのまま残っているものは非常に希少です。
もし、ケースに入ったままのきれいな硬貨や、ピン札の古い紙幣があれば、高額買取のチャンスです。
5-2.発行数・現存数が少ない
「発行された枚数が少ない」、あるいは「発行されたが現存している数が少ない」古銭は、希少価値が極めて高くなります。
たとえば、試作段階で終わってしまった貨幣や、戦争などの影響で回収・溶解されてしまった貨幣などがこれに当たります。市場に出回る数が物理的に少ないため、コレクター同士の争奪戦になりやすく、価格が高騰するのです。
5-3.コレクター人気が高い
古銭の価値は需要と供給で決まるため、コレクターからの人気が高い種類は、多少状態が悪くても高値で取引されます。
たとえば、見栄えのする「大判・小判」や、龍の図案が描かれた「龍銀貨」、近代の「貿易銀」などは、国内外を問わず常に高い人気を誇ります。とくに最近では、中国の富裕層による古銭収集ブームの影響で、中国古銭や日本の近代銀貨の相場が上昇傾向にあります。
人気があるジャンルかどうかも、高価買取の重要なポイントです。
5-4.本物と証明できる鑑定書がある
高価な古銭であればあるほど、偽物も多く出回っています。そのため、「日本貨幣商協同組合」などの信頼できる機関が発行した鑑定書がついている古銭は、本物であることが保証されているため高く評価されます。
鑑定書は、その古銭の身分証明書のようなものです。これがあるだけで、買い手が安心して購入できるため、鑑定書なしのものに比べて査定額が大幅にアップします。
もし手元に鑑定書があれば、必ず古銭とセットで保管しておきましょう。
5-5.エラーや特定年号など希少性が高い
製造過程のミスで生まれたエラーコインや、発行枚数が極端に少ない特年と呼ばれる年号の硬貨は、額面の数百倍から数千倍の価値になることがあります。
穴なしの50円玉や、穴がずれた5円玉、模様が影のように二重に写った硬貨などは、本来なら不良品として取り除かれるはずのものです。これらが市場に出回る確率は非常に低いため、コレクターアイテムとして非常に高い価値を持ちます。
5-6.金貨・銀貨など素材価値がある
古銭としての希少価値がつかなくても、その古銭が金や銀などの貴金属で作られている場合は、「素材の価値」として高く売れる可能性があります。
たとえば、明治時代の金貨や、天皇陛下御即位記念の10万円金貨などは、純金やK21.6などの高品位な金で作られています。これらは、毎日の金相場に連動して買取価格が決まるため、金価格が高騰している現在は、額面以上で売れる可能性が非常に高いです。
6.古銭の価値を落とさない正しい保管方法

古銭の価値は「保存状態」に大きく左右されます。せっかく価値のある古銭を持っていても、保管方法を間違えて劣化させてしまうと、買取価格が大きく下がってしまうことがあるのです。
そのため古銭を保管する際は、以下の4点を実践してください。
- 素手で触らない
- 洗わない・磨かない
- 湿気・光・高温を避ける
- ケースに入れて空気を遮断する
詳しく解説します。
6-1.素手で触らない
古銭を扱う際のもっとも基本的なルールは、絶対に素手で触らないことです。
人間の手には目に見えない皮脂や汗が付着しており、これらが古銭の表面につくと、時間の経過とともに化学反応を起こし、変色や錆び(サビ)の原因になります。とくに銅貨や銀貨は変色しやすいため注意が必要です。
古銭を触るときは、必ず清潔な手袋を着用するか、ピンセットを使用し、側面を持つように心がけましょう。
6-2.洗わない・磨かない
古銭をきれいにしてから売ろうという親切心が、逆に古銭の価値をゼロにしてしまうことがあります。
古銭についた自然な錆びや汚れは、長い年月を経た歴史の証として評価される場合があります。素人が自己判断で洗浄液につけたり、研磨剤で磨いたりすると、表面に微細な傷がつくだけでなく、本来の風合いまで削ぎ落としてしまうのです。
汚れているように見えても、それは「味」として評価されることが多いです。何もしないのが一番のメンテナンスだと心得ましょう。
6-3.湿気・光・高温を避ける
古銭にとって、湿気と直射日光は大敵です。湿気が多い場所に保管すると、金属は錆びて腐食し、紙幣はカビが生えたり波打ったりしてしまいます。また、直射日光に含まれる紫外線は、紙幣のインクを色褪せさせたり、コインケースを劣化させたりする原因になります。
保管場所としては、風通しが良く、直射日光が当たらない冷暗所が最適です。タンスの奥や屋根裏部屋などは湿気が溜まりやすいため、定期的に空気の入れ替えをおこないましょう。
6-4.ケースに入れて空気を遮断する
古銭を裸のまま保管するのではなく、専用のケースやホルダーに入れて空気を遮断することが重要です。
空気中の酸素や湿気に触れ続けると、酸化が進んで劣化してしまいます。コイン専用のペーパーホルダー(コインホルダー)や、密閉できるプラスチックケースに入れることで、外部環境からの影響を最小限に抑えることができます。
紙幣の場合も、専用の透明なフィルムに入れ、折れや汚れを防ぐようにしましょう。
7.古銭を1円でも高く売るポイント
古銭を1円でも高く売りたいのであれば、以下の4点を意識するようにしてください。
- なるべく早く見積もりに出す
- 余計な手入れはしない
- 鑑定書やケースなどを付ける
- 買取実績のある買取業者を選ぶ
詳しくは以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
8.まとめ
今回は、古銭の価値の見極め方や、価値がない場合の正しい処分方法、そして高値がつく古銭の特徴について解説しました。
多くの古銭は、残念ながら発行枚数が多く額面通りの価値しかない場合もありますが、中には「エラーコイン」や「特定年号」、「金・銀素材」といった、プレミア価値を持つものも存在します。自己判断で捨てたり、洗って価値を落としてしまったりするのは非常にもったいないことです。
「汚いから」と諦めずに、まずはそのままの状態でプロの目利きに任せてみてはいかがでしょうか。
玉光堂では、古銭や記念硬貨の専門知識を持つ鑑定士が、一点一点丁寧に査定いたします。「価値があるかわからない」という場合でも、仕分けからお手伝いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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