
宝石の王様と称されるダイヤモンド。その圧倒的な硬さや輝きは、多くの人々を魅了してやみません。しかし、ダイヤモンドが、一体どこでどうやってできるのか、知らない方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
- この記事で解説していること
- ダイヤモンドはどうやってできるのか
- ダイヤモンドの採掘方法
- ダイヤモンドの加工方法
この記事を読むことで、ダイヤモンドができてから人々の手元に届くまでの流れを理解することができます。ダイヤモンドがどうやってできるのか興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.ダイヤモンドはどうやってできるのか
婚約指輪やジュエリーで圧倒的人気を誇るダイヤモンドですが、どのようにしてできているのでしょうか。
まずは、ダイヤモンドのでき方やダイヤモンドが生まれる場所などを解説していきます。
1-1.ダイヤモンドは何でできているのか
ダイヤモンドは、実は非常に一般的な元素である「炭素」からできています。詳しくは後述しますが、ダイヤモンドが生成される際、高温・高圧という極限の環境によって、炭素が地球上で最も硬い物質に変わるのです。
さらに、ダイヤモンドは宝石の中でも珍しく、炭素という一つの元素だけでできているという特徴があります。対照的に、ルビーは「酸素」と「アルミニウム」の2つの元素から成り、エメラルドは4つの元素からできています。
ダイヤモンドはその特異な結晶構造と生成環境によって、他の宝石とは一線を画す存在であることがわかります。
1-2.ダイヤモンドが生まれる場所
天然のダイヤモンドが生まれる場所は、私たちが住む地表から、はるか150km以上も深い地球の内部「マントル」です。
マントルは、地球の核を覆う、非常に高温で高圧な層です。ダイヤモンドは、この過酷な環境でなければ、その安定した結晶構造を形成することができません。
私たちが普段目にしている宝石のなかで、これほど地球の奥深くで生まれるものはほかにありません。
1-3.ダイヤモンドができる条件と流れ
ダイヤモンドが誕生するためには、炭素が特定の厳しい条件に置かれ、そして、マグマによって地表近くまで運ばれるという、奇跡的なプロセスを経る必要があります。条件が一つでも欠ければ、ダイヤモンドは生まれません。
ここでは、ダイヤモンドができる条件とその流れについて、2つに分けて解説していきます。
1-3-1.超高温と超高圧で化学反応が繰り返される
ダイヤモンドの生成には、摂氏1,000度を超える「超高温」と、5万気圧を超える「超高圧」という、二つの絶対条件が必要です。
超高温と超圧力による極限状態に置かれた炭素原子は、互いに非常に強く、そして規則正しく結びつき始めます。この強固な結びつきこそが、ダイヤモンドの圧倒的な硬さの秘密です。
この化学反応が、何億年という長い時間をかけて繰り返されることで、ダイヤモンドの結晶は成長していきます。
1-3-2.噴火や隆起などで地表に出現する
ダイヤモンドが形成される場所は地表から150km以上の深さに位置するため、自然に地表に出現することはありません。ダイヤモンドは、噴火や隆起によって地表に現れます。
地球の深層でマントルの一部が溶け、マグマとなって急速に地表に噴き出します。この過程で、ダイヤモンドが地下深くから地表付近に運ばれるのです。
冷えたマグマはキンバーライトという岩石を形成し、その垂直に積み重なった構造は「キンバーライトパイプ」と呼ばれます。ほぼすべての天然ダイヤモンドは、このキンバーライトパイプから産出されます。
ですが、すべてのキンバーライトパイプにダイヤモンドが含まれる訳ではありません。キンバーライトパイプのうち、ダイヤモンドを含むものはわずか15%に過ぎず、採掘可能なものは1%しかないのです。ダイヤモンドがいかに希少な宝石なのかということがよくわかる数値です。
1-4.ごく稀に色のついたカラーダイヤモンドもある
ダイヤモンドは、基本的には無色透明です。ですがその結晶が形成される過程で、ごく稀に、特定の不純物が入り込むことで、色のついた「ファンシーカラーダイヤモンド」が生まれることがあります。
たとえば、窒素原子が混じるとイエローに、ホウ素原子が混じるとブルーになります。また、ピンクダイヤモンドは、不純物ではなく、結晶構造の歪みによって、その美しい色が生まれると考えられています。これらのカラーダイヤモンドは、無色のものよりもはるかに希少価値が高いです。
2.ダイヤモンドの採掘方法
地中深くから運ばれてきたダイヤモンドは、その鉱床が地表近くにあるか、あるいは、すでに川に流れ出しているかなど、その存在形態に応じて主に以下3つの方法で採掘されます。
- 露天掘り
- 坑内掘り
- 漂砂鉱床採掘
それぞれの採掘方法が、どのようにしておこなわれるのかを見ていきましょう。
2-1.露天掘り(オープンピットマイニング)
露天掘りとは、ダイヤモンドの母岩である「キンバーライトパイプ」が地表近くにある場合に、地表から直接巨大なすり鉢状の穴を掘り進めていく採掘方法です。
発破によって岩盤を砕き、巨大な重機でダイヤモンドを含む岩石を大量に運び出します。採掘が進むにつれて、その穴は直径数キロメートルに達することもあります。比較的安全で、効率的に大量採掘ができるため、世界の多くのダイヤモンド鉱山ではまずこの方法が採用されます。
2-2.坑内掘り(アンダーグラウンドマイニング)
坑内掘りは、ダイヤモンドの鉱脈が地下深くにある場合に、地表からトンネル(坑道)を掘り進めて、直接鉱脈から採掘する方法です。
地下に巨大な空間を作り、そこからダイヤモンドを含む岩盤を掘り出して、地上へと運び上げます。露天掘りが深くなりすぎて非効率になった鉱山でも、この方法に切り替えることが可能です。
高度な技術と、安全管理が必要となる、非常にコストのかかる採掘方法です。
2-3.漂砂鉱床採掘
漂砂鉱床採掘とは、キンバーライトパイプが長い年月をかけて浸食され、川の流れによって運ばれてきたダイヤモンドが堆積した川床や海岸からダイヤモンドを探し出す方法です。
自然の力によってある程度選別されたダイヤモンドを、大量の土砂ごとすくい上げます。そして、水を使って洗い流しながら、比重の重いダイヤモンドだけを選り分けるという流れです。
ナミビアなどでは、海岸の砂だけでなく、海底の砂礫を吸い上げる大掛かりな採掘もおこなわれています。
3.ダイヤモンドの加工方法
鉱山から採掘されたダイヤモンドの原石は、さまざまな工程を経て加工され、ジュエリーに利用されています。ここでは、一般的な言葉を使用しながらダイヤモンドの加工方法を4工程に分けて解説します。
- 原石の評価
- 分割
- 成形
- 研磨
一連の流れを見ていきましょう。
3-1.原石の評価
ダイヤモンドの加工は、まず原石を隅々までスキャンし、「どのようにカットすれば、最も価値が高くなるか」という、綿密な計画を立てることから始まります。加工プロセス全体で最も重要な、設計図を作る工程です。
石の重さをできるだけ残しつつ、内部の不純物をいかに取り除き最高の輝きを引き出せるか、その最適なバランス点を見極める必要があります。この最初の評価と計画が、そのダイヤモンドの最終的な価値を決定づけるのです。
3-2.分割
次に、計画にもとづいて、大きな原石をより扱いやすい大きさに分割します。
伝統的な手法は、石の結晶の目に沿ってタガネを当てて叩き割る「劈開(へきかい)」ですが、現在では、より正確かつ石への負担も少ない、レーザー光線を使って精密に切断する「ソーイング」が主流です。この工程によって、一つの原石から、複数の宝石を生み出すことも可能になります。
3-3.成形
分割されたダイヤモンドの原石を、ダイヤモンド同士をすり合わせる「ブルーティング」という作業によって、大まかな形へと整えていきます。
たとえば、最も人気の高い「ラウンドブリリアントカット」にする場合は、この工程でまず大まかな円錐形に成形します。これは、最終的な研磨工程の前に、宝石の基本的な輪郭を作り出す、いわば「下書き」のような重要なステップです。
3-4.研磨
最後に、ダイヤモンドの輝きを生み出す、最も重要な工程である「研磨(ポリッシング)」で、数十もの精密な面(ファセット)を磨き上げます。
ダイヤモンドの粉末を塗した高速回転する円盤に、成形されたダイヤモンドを押し当て、計算し尽くされた角度で、一つひとつのファセットを丁寧に作り出します。この面の角度と配置の精度が、ダイヤモンドの輝きを決定づけるのです。
この工程を経て、ダイヤモンドの原石は初めて、まばゆいばかりの光を放つ宝石へと生まれ変わります。
4.近年「人工ダイヤモンド」が作られるようになっている
近年の技術革新により、天然ダイヤモンドと全く同じ成分と結晶構造を持つ、「人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)」が、工業的に作られるようになっています。
人工ダイヤモンドは、キュービックジルコニアなどの模造石とは異なり、科学的には本物のダイヤモンドです。研究所内で、天然ダイヤモンドが生まれる地球深部の環境を再現し、数週間で結晶を成長させます。
天然ダイヤモンドの「奇跡の産物」としての価値とは異なりますが、環境への影響や劣悪な労働環境倫理的な問題が少なく、そのうえ手頃な価格で入手できる新しい選択肢として注目されています。
5.まとめ
この記事では、ダイヤモンドが地球深部のマントルで生まれ、採掘、そして加工を経て、私たちの手元に届くまでの流れを解説しました。
一粒の天然ダイヤモンドは、何十億年という時間と、奇跡的な地球の活動が生み出した、まさに「地球の結晶」です。このダイヤモンドという物質の成り立ちを知ることで、その一粒が持つ、本当の価値と重みをより深く感じられるようになるのではないでしょうか。
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