
ダイヤモンドが世界で一番硬いと聞いて、「ダイヤモンドより硬いものって本当にないの?」と疑問に思ったことはありませんか。
実は、科学の進歩により、ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物が発見されているのです。一体どんな物質なのでしょうか?
そこで今回は、以下のトピックについて解説します。
- 科学の進歩によりダイヤモンドより硬い物質が発見された
- ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物の種類・特徴・発見の経緯
- ダイヤモンドより硬いのに実用化されない理由
- ダイヤモンドより硬い鉱物の将来性
この記事を読むことで、ダイヤモンドより硬いものがあるという、常識を覆す、意外な雑学を手に入れられます。
ダイヤモンドの硬さやその他の鉱石の硬さについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.「ダイヤモンドは世界一硬い」は本当か?
「ダイヤモンドは世界一硬い」と言われますが、本当のことなのでしょうか。ダイヤモンドの硬さについて、以下の2つのトピックを紹介します。
- なぜダイヤモンドは「硬い」というイメージが定着したのか
- 科学の進歩によりダイヤモンドより硬い物質が発見された
それぞれ解説します。
1-1.なぜダイヤモンドは「硬い」というイメージが定着したのか
ダイヤモンドは炭素原子が結びついてできています。正四面体構造と呼ばれる、特殊な立体的構造をしているため、硬さが生み出されているのです。4個の炭素原子が正四面体の構造を作りながら結合して、立体的な編み目構造となっているために、ダイヤモンドは極めて硬い物質です。
ダイヤモンドは、鉱物の硬度を示す「モース硬度」という指標において、最高硬度10を持っています。そのため「硬い」というイメージが定着してきました。
1-2.科学の進歩によりダイヤモンドより硬い物質が発見された
科学の進歩により、さまざまな測定・検出装置が開発されてきています。電子顕微鏡、X線装置、高圧実験システムなどを活用することで、新しい鉱物を発見したり、特性や構造を解明したりできるようになったのです。
その結果として、ダイヤモンドと異なる構造を持ち、より硬いとされる物質が発見されているのです。
2.ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物
ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物には、以下の3つがあります。
- ロンズデーライト
- カルメルタザイト
- ウルツァイト窒化ホウ素
それぞれの特徴や発見の経緯について解説します。
2-1.ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンド)
ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンド)は、隕石の衝突時の、高温・高圧下で形成されると言われている鉱物です。
2-1-1.ロンズデーライトの特徴や発見の経緯
ロンズデーライトは、ダイヤモンドとは異なる、六方晶系と呼ばれる構造であり、理論上はダイヤモンドより硬い可能性があるとされています。ただし、自然界で発見される量が非常に少ないため、実際の硬さは確認されていません。
1967年に隕石を分析した際に、発見されました。以後、ロンズデーライトは全て隕石から発見されています。
2-2.カルメルタザイト
カルメルタザイトは、2019年に地球上で初めて発見された新しい鉱物です。含まれている主成分はサファイアに近く、チタン、アルミニウム、ジルコニウムなどです。
2-2-1.カルメルタザイトの特徴や発見の経緯
成分構成、結晶密度により、理論上はダイヤモンドよりも硬度が高い可能性があると言われています。イスラエルのカルメル山という鉱山で発見されたため、カルメルタザイトと名づけられました。
これまでは宇宙でしか発見されたことのない鉱物であり、隕石の中に含まれていたのではないかと考えられています。
2-3.ウルツァイト窒化ホウ素
ウルツァイト窒化ホウ素は、完全な結晶構造ができた場合には、ダイヤモンドより硬いと考えられています。火山における高温高圧下で生成される、窒素とホウ素の化合物です。
2-3-1.ウルツァイト窒化ホウ素の特徴や発見の経緯
六方晶系という結晶構造により、外部からの圧力が分散されるため、理論上はダイヤモンドよりも硬度が高いと考えられています。過酷な環境においても安定しているため、工業利用が期待されています。
3.ダイヤモンドより硬いのに実用化されないのはなぜ?
ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物が存在するのにもかかわらず、実用化されないのはなぜなのでしょうか。
実用化されない主な理由は、以下の2点です。
- 自然界にほとんど存在しないまたは人工合成が極めて困難なため
- 安定して存在できる条件が非常に特殊であるため
それぞれについて解説します。
3-1.自然界にほとんど存在しないまたは人工合成が極めて困難なため
ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物の利用価値は、非常に高いと考えられます。ただし、実際には自然界にほとんど存在しなかったり、人工合成が極めて困難だったりするために、実用化するほどの量を確保できません。
今後、技術の進歩により、人工合成への道が開けた場合には、状況は変わる可能性はあります。
3-2.安定して存在できる条件が非常に特殊であるため
ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物のなかには、安定して存在できる条件が非常に特殊であるために実用化できないものもあります。
また、理論上はダイヤモンド以上の硬度を持つとしても、条件が整わなければそれほどの硬さを持たないというケースもあります。
4.ダイヤモンドより硬い鉱物の将来性
現時点では実用化されていないダイヤモンドより硬い鉱物に、将来性はあるのでしょうか。
ロンズデーライトなどのダイヤモンドより硬いとされる鉱物は、理論上は非常に大きな可能性を秘めていますが、現時点ではその将来性はあくまで基礎研究の段階にあり、すぐに実用化される見込みは低いです。なぜなら、これらの物質は、自然界では隕石の中からごく微量しか発見されておらず、人工的に合成するのも極めて困難だからです。
安定して大きな結晶を作る技術が確立されていないため、工業用の刃物や宝飾品として加工することはできません。しかし、その結晶構造を研究することは、未来の新しい超硬素材を開発するための非常に重要なヒントに繋がると期待されています。
5.ダイヤモンドが「硬さの王様」と呼ばれ続ける理由
ダイヤモンドが「硬さの王様」と呼ばれ続ける理由は、以下の2つです。
- 天然物として圧倒的な硬度と安定性を両立している
- 工業用(切削・研磨)から宝飾品まで幅広く活用されている
それぞれについて解説します。
5-1.天然物として圧倒的な硬度と安定性を両立している
ダイヤモンドが王様である第一の理由は、自然界に存在する物質の中で、圧倒的な硬さと常温常圧での安定性を見事に両立させている唯一無二の存在だからです。
ダイヤモンドより硬いとされるロンズデーライトなどは、地球上では隕石の中からごく微量しか見つからず、極めて希少です。一方、ダイヤモンドは、世界各地の鉱山から、宝飾品や工業製品として利用できる大きさで、安定的に産出されます。
「比較的手に入りやすいうえに非常に硬い」ことこそが、ダイヤモンドを特別な存在にしています。
5-2.工業用(切削・研磨)から宝飾品まで幅広く活用されている
実はダイヤモンドは、宝飾品だけではなく、さまざまな工業的用途でも活用されています。硬度はもちろんのこと、電気絶縁性などの特性が必要とされる場面が数多くあるのです。
たとえば、ダイヤモンドカッター、ダイヤモンドドリル、レコード針、研磨剤、絶縁紙などに使用されています。今後も、工業用としての需要がなくなることはないでしょう。
理論上の存在である他の物質とは異なり、実際に社会の様々な場面でその「硬さ」が役立っている圧倒的な実用性が、ダイヤモンドを王たらしめているのです。
6.まとめ
ダイヤモンドよりも硬いとされている鉱物には、ロンズデーライト、カルメルタザイト、ウルツァイト窒化ホウ素などがあります。
これらの鉱物は、自然界にほとんど存在しないまたは人工合成が極めて困難であることや、安定して存在できる条件が非常に特殊であることなどにより、現時点では実用化に至っていません。
ただし、将来的に、人工合成が容易になるなどして入手しやすくなった場合には、さまざまな工業的用途に活用されることが期待されています。
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