
「ダイヤモンドの価値は、無色透明なほど高い」と思っていませんか?
実は、その常識が当てはまるのは「無色透明のダイヤモンド」の世界だけです。ピンクやブルーといった「カラーダイヤモンド」は、全く別の評価基準が存在し、色が濃いほど驚くような価値がつくこともあります。
そこでこの記事では、ダイヤモンドの色の価値について以下の内容を解説していきます。
- この記事で解説していること
- 無色透明のダイヤモンドと色のついたカラーダイアモンドの違い
- 無色透明のダイヤモンドの色による価値の違い
- カラーダイヤモンドの価値について
- カラーダイヤモンドにはどんな色の種類があるのか
- 希少価値の高いカラーダイヤモンド
また、記事の最後には売却前にダイヤモンドの価値を高める方法も解説しています。
資産価値としてのダイヤモンドを検討している方、色によるダイヤモンドの価値の違いを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.無色透明のダイヤモンドと色のついたカラーダイアモンドの違い
ダイヤモンドの色は、無色透明なものと、ピンクやブルーといったはっきりとした色がついた「ファンシーカラーダイヤモンド」という2つのカテゴリーに大別されます。
一般的な婚約指輪などで選ばれることが多いのは「無色透明のダイヤモンド」で、こちらは「いかに無色か」で価値が決まります。
一方、ファンシーカラーダイヤモンドは全く別の評価基準となり、「いかに色が濃く鮮やかか」で価値が決まります。
2.無色透明のダイヤモンドの色による価値の違い

無色透明のダイヤモンドの価値は、国際基準である「4C」の一つ、「カラー(Color)」等級によって大きく左右されます。このカラー等級は、ダイヤモンドがいかに無色であるかを評価するもので、アルファベットの「D」を最高とし、黄色味が強くなるにつれてE、F、G…とZまでランクが下がっていきます。
ランクが高く無色に近いほど、光を純粋に透過・反射させて美しく輝くため、希少価値が高くなります。
2-1.D,E,F(Colorless):無色・最高評価
D、E、Fの3段階は、「Colorless(カラーレス)」と呼ばれる最高品質のグループです。専門家が厳格な基準のもとで検査しても、ほとんど、あるいは全く色味を感じない無色透明の等級です。とくにトップグレードである「Dカラー」は完全に無色であり、その希少性から最も高い価値がつけられます。
このグループのダイヤモンドは、光を遮る要素がなく、石本来の輝き(ファイア)を最大限に楽しむことができます。
2-2.G,H,I,J(Near Colorless):ほぼ無色・コストパフォーマンスが良い
G、H、I、Jの4段階は、「Near Colorless(ニア・カラーレス)」と呼ばれる、ほぼ無色のグループです。専門家が注意深く見比べればわずかな色味を感じ取れますが、一般の方がジュエリーとしてセッティングされた状態で見て、色味を感じることはほとんどありません。
最高品質のD〜Fグレードに比べて価格がぐっと手頃になるにもかかわらず、見た目の美しさは遜色ありません。そのため、婚約指輪などでも最も人気があり、コストパフォーマンスに優れた賢い選択肢といえます。
2-3.K,L,M(Faint):わずかな黄色味
K、L、Mの3段階は、「Faint(フェイント)」と呼ばれる、専門家でなくても比較的気づきやすい、わずかな黄色味を帯びたグループです。ダイヤモンドを白い背景の上に置いたり、Dカラーのダイヤモンドと並べたりすると、その色合いの違いを認識できます。
ただし、イエローゴールドの指輪の枠に留めるなどデザインを工夫することで、その黄色味をかえって目立たなくさせることも可能です。
2-4.N〜Z:黄色味が明確になる
NからZまでのグレードは、黄色味や褐色味が、肉眼でもはっきりと分かるグループです。一般的に、無色透明のダイヤモンドとしての宝飾品価値は、このグレードから大きく下がります。
Zに近づくほど色が濃くなり、ある一定の濃さを超えると、今度は「ファンシーイエロー」といったカラーダイヤモンドの領域に入り、別の評価基準で価値が判断されるようになります。
3.カラーダイヤモンドの価値について

カラーダイヤモンド(ファンシーカラーダイヤモンド)は、ピンク、ブルー、イエロー、グリーンといったはっきりとした色合いを持つダイヤモンドで、無色透明のダイヤモンドとは全く別の評価基準でその価値が決まります。
無色のダイヤモンドが「色のなさ」を評価されるのに対し、カラーダイヤモンドは「色の鮮やかさ」と「希少性」が最も重要視されます。とくにピンクやブルーは産出量が極めて少なく、非常に高額で取引されます。
3-1.カラーダイヤモンドにも鑑定書が発行される
カラーダイヤモンドにも、GIAなどの信頼できる鑑定機関によって、無色のダイヤモンドとは異なる専用の鑑定書(カラーダイヤモンドグレーディングレポート)が発行されます。
カラーダイヤモンドの鑑定書では、4Cのうちカラーの評価が最も重要視されます。色の濃淡や鮮やかさによって「Fancy Vivid(ファンシー・ビビッド)」や「Fancy Intense(ファンシー・インテンス)」といった等級に分類され、この評価が価値を大きく左右します。
3-2.天然と人工がある
カラーダイヤモンドには、地球の内部で奇跡的な条件が重なって生まれた天然のものと、人間が実験室(ラボ)で人工的に作り出した人工(ラボグロウン)、あるいは天然のダイヤモンドに放射線処理などをおこなって色を改変したものがあります。
資産価値として最も高く評価されるのは、当然ながら希少性の高い天然のカラーダイヤモンドです。
鑑定書には、その色が天然由来か人工的な処理によるものかも記載されます。
4.カラーダイヤモンドにはどんな色の種類があるのか
カラーダイヤモンドには、イエローやピンク、ブルーといった様々な色の種類が存在します。
無色のダイヤモンドの価値が「色のなさ」で決まるのとは対照的に、カラーダイヤモンドの価値は「色の鮮やかさ」と「希少性」で決まります。その評価は、①色の種類(色相)、②色の強さ(彩度・明度)、③色の修飾色、という3つの要素の組み合わせで総合的におこなわれます。
詳しく見ていきましょう。
4-1.カラーダイヤモンドの主な色の種類(色相)
カラーダイヤモンドの色の種類(色相)は、イエロー、ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ、ブラウン、ブラックなど非常に多岐にわたります。なかでもとくに希少価値が高いとされているのが、ピンク、ブルー、そしてグリーンです。これらの色は産出量が極めて少なく、その美しさからオークションなどで驚くような高値で取引されることがあります。
一方、イエローやブラウン系のダイヤモンドは比較的産出量が多いため、ほかの色に比べると手頃な価格から見つけることが可能です。
4-2.色の強さ(彩度・明度)
カラーダイヤモンドの価値を決定づける最も重要な要素が、その色の強さ(彩度・明度)です。色がいかに鮮やかで濃いかによって、その評価は大きく変わります。
GIAの鑑定では、色の強さは「Faint(フェイント)」から始まり、「Very Light」「Light」「Fancy Light」「Fancy」「Fancy Intense」「Fancy Vivid」「Fancy Deep」といった等級で評価されます。このなかで、最も価値が高いとされる最高評価が「Fancy Vivid(ファンシー・ビビッド)」です。
4-3.色の修飾色
カラーダイヤモンドの色は単一の色ではなく、多くの場合、わずかにほかの色が混じった「修飾色」を持っています。たとえば、ピンクダイヤモンドであれば「パープリッシュ・ピンク(紫がかったピンク)」や、「ブラウニッシュ・ピンク(茶色がかったピンク)」といった具合です。
鑑定書には、修飾色も記載されます。一般的に、修飾色がなくその宝石本来の色に近いほど、希少価値は高くなる傾向にあります。
4-4.別名や商標名がついているカラーダイヤモンドもある
カラーダイヤモンドのなかには、その色や特徴から特別な「別名」や「商標名」で呼ばれ、親しまれているものがあります。ここでは、その代表的な例を以下の5つご紹介します。
- カナリーダイヤモンド
- コニャックダイヤモンド
- チョコレートダイヤモンド
- カメレオンダイヤモンド
- パンプキンダイヤモンド
これらは正式な鑑定用語ではありませんが、そのダイヤモンドの魅力をより分かりやすく伝える愛称として、市場で広く使われています。一つずつ見ていきましょう。
4-4-1.カナリーダイヤモンド
カナリーダイヤモンドとは、鮮やかな黄色い小鳥「カナリア」の羽の色にたとえられる、鮮やかで純粋なイエローダイヤモンドを指す愛称です。
ファンシーカラーダイヤモンドのなかでもイエローは比較的多く産出されますが、一切の濁りやほかの色が混じらないビビッドな黄色を持つものはとくに希少です。そのなかで「Fancy Vivid Yellow」と鑑定された最高品質のイエローダイヤモンドが、カナリーダイヤモンドと呼ばれます。
4-4-2.コニャックダイヤモンド
コニャックダイヤモンドとは、フランスの高級ブランデー「コニャック」のような、深く芳醇な赤みを帯びたブラウンのダイヤモンドを指す愛称です。
ブラウンダイヤモンドはカラーダイヤモンドのなかでは産出量が多く、比較的安価な部類に入ります。しかし、そのなかでもはっきりとした色合いを持つものは、ファッションジュエリーとして根強い人気があります。
4-4-3.チョコレートダイヤモンド
チョコレートダイヤモンドとは、コニャックよりもさらに濃い、ダークブラウンの色合いを持つダイヤモンドを指す愛称です。
これは、アメリカの宝飾企業がブランディングのために名付けた商標名でもあります。以前は工業用として扱われることも多かったブラウンダイヤモンドを、お洒落な「チョコレート」と呼ぶことで、その新たな魅力を引き出し、ジュエリーとしての価値を高めることに成功しました。
4-4-4.カメレオンダイヤモンド
カメレオンダイヤモンドとは、加熱したり暗い場所に保管したりすると、一時的に色が変化するという非常に珍しい性質を持つダイヤモンドの愛称です。通常はオリーブグリーンのような色をしていますが、加熱などの刺激によって一時的に鮮やかなイエローやオレンジイエローに変化します。
なぜ色が変化するのか、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。その神秘的な性質から、コレクターの間で高い人気を誇ります。
4-4-5.パンプキンダイヤモンド
パンプキンダイヤモンドとは、その名の通りカボチャのような、鮮やかで力強いオレンジ色をしたダイヤモンドの愛称です。純粋なオレンジ色のダイヤモンドは産出量が極めて少なく、非常に希少です。
なかでもとくに有名なのが、1997年のオークションに出品され、宝飾ブランドのハリー・ウィンストンが落札した、「ザ・パンプキン」と呼ばれる5.54カラットの世界最大級のオレンジダイヤモンドです。
5.希少価値の高いカラーダイヤモンド

カラーダイヤモンドのなかには、産出量が極端に少なく、オークションなどで億単位の価格がつくようなとくに希少価値の高いダイヤモンドが存在します。ここでは、その代表格ともいえる5つの希少なカラーダイヤモンドをご紹介します。
- レッドダイヤモンド
- ブルーダイヤモンド
- ピンクダイヤモンド
- グリーンダイヤモンド
- パープル/ヴァイオレットダイヤモンド
これらの宝石は、その色の鮮やかさと美しさから、世界中のコレクターの憧れの的となっています。それぞれ解説します。
5-1.レッドダイヤモンド
レッドダイヤモンドは、数あるカラーダイヤモンドの中で最も希少で、最も価値が高いとされる色の一つです。その色は不純物ではなく、結晶構造の歪みによって生じると考えられています。
純粋な「赤」と鑑定されるダイヤモンドの産出は奇跡に近いほど稀であり、1カラットを超える大きさのものは世界でも数えるほどしか存在しません。
その希少性から市場に出ることは滅多になく、価格は天井知らずとなっています。
5-2.ブルーダイヤモンド
ブルーダイヤモンドは、その気品あふれる青い色合いから、レッドに次いで希少価値が高いとされるダイヤモンドです。美しい青色は、結晶が形成される過程でホウ素原子が取り込まれることで生まれます。
有名な「ホープ・ダイヤモンド」に代表されるように、歴史的な逸話を持つものも少なくありません。
色の濃い「ファンシー・ビビッド・ブルー」と鑑定されるものは、極めて高額で取引されます。
5-3.ピンクダイヤモンド
ピンクダイヤモンドは、その華やかで愛らしい色合いから、世界的に絶大な人気を誇る非常に希少なカラーダイヤモンドです。ピンク色も、レッドと同様に結晶構造の歪みによって生じるとされています。
2020年に閉山したオーストラリアの「アーガイル鉱山」は、世界のピンクダイヤモンドの90%以上を産出していました。アーガイル鉱山の閉山により、ピンクダイヤモンドの希少価値が今後ますます高まっていくと予想されています。
5-4.グリーンダイヤモンド
グリーンダイヤモンドは、ダイヤモンドの結晶が地中で天然の放射線を浴びることによって緑色が生まれる非常に珍しいカラーダイヤモンドです。
純粋なグリーンのダイヤモンドは産出量が極めて少なく、非常に希少です。また多くの場合、緑色は表面付近に集中しているため、カットや研磨が非常に難しいとされています。
神秘的な色の成り立ちも、グリーンダイヤモンドがコレクターを惹きつける魅力の一つです。
5-5.パープル/ヴァイオレットダイヤモンド
純粋な紫色(パープル)や、青みがかった紫色(ヴァイオレット)のダイヤモンドも、産出量が非常に少なく、極めて希少価値の高いダイヤモンドです。パープルの色は結晶構造の歪みによって、ヴァイオレットの色は水素原子が関係していると考えられています。
どちらの色も、はっきりとした色合いのものは、オークション市場で常に注目を集める存在です。
6.売却前にダイヤモンドの価値を高める方法
お手持ちのダイヤモンドを1円でも高く売却するためには、査定に出す前の「準備」が非常に重要です。ダイヤモンドの価値は4Cという客観的な基準で決まりますが、その評価を最大限に引き出すための、いくつかのコツが存在します。
ここでは、ダイヤモンドの価値を高めるためにご自身でできる、5つの簡単な方法をご紹介します。
- ダイヤモンドの状態を整える
- 鑑定書・鑑別書を準備する
- 付属品(ブランドの箱・保証書)をすべて揃える
- 複数の買取店で査定を受ける
- 売却のタイミングを見極める
それぞれ解説します。
6-1.ダイヤモンドの状態を整える
ダイヤモンドを査定に出す前に、まずは状態をできるだけきれいにしておきましょう。
ダイヤモンドは、皮脂や化粧品などの油分が付着しやすい性質を持っています。表面が油膜で曇っていると、本来の輝きが損なわれ、査定士が品質を低く評価してしまう可能性があります。中性洗剤を溶かしたぬるま湯で優しく洗い流すだけでも、輝きを取り戻すことが可能です。
6-2.鑑定書・鑑別書を準備する
ダイヤモンドの品質を証明する鑑定書や、宝石の種類を証明する鑑別書は、査定時に必ず一緒に提出するようにしてください。これらの証明書は、そのダイヤモンドの品質を第三者の専門機関が客観的に証明した、最も重要な書類です。
とくにGIA(米国宝石学会)などの信頼性の高い鑑定書があれば、買取業者はその品質を疑うことなく、適正な買取価格を提示できます。
6-3.付属品(ブランドの箱・保証書)をすべて揃える
もし、そのダイヤモンドがカルティエやティファニーといった有名ブランドのジュエリーである場合は、購入時に付属していたブランドの箱や保証書などをすべて揃えて査定に出すことが重要です。
ダイヤモンドの付属品が揃っていると「本物である」という証明になるだけでなく、ブランドの付加価値が査定額にプラスされます。
ダイヤモンドの査定額を最大限に高めるため、鑑定書や保証書などの付属品は、査定時に必ず一緒に出すようにしてください。
6-4.複数の買取店で査定を受ける
ダイヤモンドの買取価格は、査定をおこなう業者によってその基準や在庫状況が異なるため、提示額が大きく変わることも珍しくありません。そのため、少なくとも2〜3社以上の買取専門店に相見積もりを依頼するのがおすすめです。
複数の査定額を比較することで、ダイヤモンドの適正な市場価格を把握できるうえ、提示された買取価格の交渉材料としても活用できます。
6-5.売却のタイミングを見極める
ダイヤモンドの市場価格も、金やプラチナと同様に、世界経済の動向や為替レート(円安・円高)の影響を受けて日々変動しています。とくに円安の局面では、輸入品であるダイヤモンドの国内価格は上昇する傾向にあります。
すぐに売却する理由がなければ、経済ニュースなどをチェックし、ダイヤモンドの相場が高まっている有利なタイミングを見極めることも高価買取を実現するための重要な戦略です。
7.まとめ
この記事では、無色透明のダイヤモンドとカラーダイヤモンドという、価値の基準が異なる二つのダイヤモンドについて解説しました。
無色透明のダイヤモンドはDカラーに近づくほど高評価となりますが、カラーダイヤモンドは逆に色の濃さや希少性が価格を決定する最大の要因となります。特にレッドやブルー、ピンクといったファンシーカラーは、無色のDカラーよりも遥かに高い希少価値を持ちます。
売却をご検討の際は、複数の買取店で査定を受けることで、ご自身のダイヤモンドが持つ「色」の価値を正当に評価してもらいましょう。
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